闇の職安へようこそ

超短編小説。

小笠原節子(28)とその娘幸子(3)が、殺された。強姦致死、強盗殺人だ。主犯は、屋久島晴男(32)。仲間に、佐渡隆(41)と三宅良樹(27)がいる。3人とも、死刑を免れて無期懲役という判決が下された。

3人は、「闇の職安」というネットを通じて知り合った犯罪仲間だ。初対面の当日に、3人は、残酷にも2人を殺害した。犯罪を、殺人を楽しんでいた。反省の色が、全然感じられない。

佐渡は、刑務所Aに収容された。しかし、新入りの収監者とケンカをして、重傷を負わされた。三宅もまた、刑務所Bで、新人の収監者にケンカをふっかけられて重傷を負った。

屋久島が収監されている刑務所Cに、八丈宏(30)という男性が入所してきた。懲役6カ月。ネットカフェ難民で、窃盗で逮捕されたようだ。

八丈は、そこで死刑囚の隠岐博人(57)と仲良くなった。しかし、屋久に対しては、異常なまでに難癖をつけていた。ケンカを打っていた。

刑務官の種子島(27)は、八丈の素性に疑問を抱いた。警察に、改めて調べてもらった。
そんな頃、屋久の父親が交通事故で死亡した。ひき逃げだ。母親は、帰宅途中、強盗に襲われて重傷を負った。

屋久は、父親の葬式にも出席できない。母親の見舞いにも、行くことができない。刑務所にいる自分を、悔やんだ。

警察の調査が、進んだ。佐渡も三宅も、八丈の口座から1人合計300万円が振り込まれていた。

屋久の父親をひき逃げした男性が、逮捕された。母親を襲った男性も、逮捕された。2人とも、八丈から300万円が振り込まれていた。嘱託殺人だ。

他にも、8人の請負人がいた。目的の刑務所に入れなかった、人たちだ。警察も検察官も弁護士も、八丈の素性を見抜けなかった。大きなミスだ。

八丈の本名は、小笠原哲也(34)。屋久に殺された、節子の夫だ。屋久を殺害するために、この刑務所に入ったのだ。復讐だ。それだけが、今の生きがいだ。

ネットの「闇の職安」を通じて、数人の殺し屋を雇ったのだ。皆、ごく普通の民間人だ。資金は、自宅を売却し、退職金を充てた。また、節子の死亡保険金からも捻出したようだ。不足分は、闇金から借り受けた。

小笠原は、ネットカフェ難民の八丈という男性と入れ替わった。身分も素性も、全て変えた。屋久に関しては、自分の手で裁きたかったようだ。

屋久と小笠原は、休憩時間に対峙した。小笠原が殺害の実行に移した。だが、屋久を殴り殺しにする前に、刑務官の種子島によって阻止されてしまった。

これにより、小笠原は、別の刑務所に送還されてしまうのであった。殺人未遂だ。小笠原の計画は、失敗に終わった。

そんなある日、作業場で、屋久は隠岐にカッターナイフで首を切りつけられて殺害されてしまうのであった。

隠岐は死刑囚だ、長くない命だ。何をしようが勝ってだ。そんな隠岐は、執行が早められて、死刑台に上がってしまった。

隠岐は、小笠原が屋久を直接殺せなかったときに備えて、代わって殺すように依頼されていたのだ。そのために、小笠原は隠岐に接近していたのだ。

実行に承諾をしてくれたら、隠岐の家族のために500万円を口座に振り込むと、小笠原は雇用契約を交わしていた。男の約束でもあった。振り込んだのは、小笠原の母親だった。

面接のない、デジタルな闇の職安。最後はやはり、直接面接ができるアナログ式の職安が、確実なようだ。



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