看護部長の転職58

●市立病院の看護部長(55)が、辞職した。看護師としては、最高幹部だった。そして、大学病院に転職した。看護師学校を併設しているが、人材は足りていない。

転職したものの、55歳で新人だ。2年目看護師は、先輩だ。元看護部長という肩書きは通用しない。娘と同じ年頃の子供たちに、教えられているようなものだ。

若い看護師に、怒られてばかりだ。情けない。プライドが、許さない。でも、生活のためだ、ガマンするしかない。正直言って、ムカつくー。

元看護部長だけに、デスクワークが中心だった。現場からは、遠ざかっていた。この歳での現場復帰は、きつい。腰が痛い。視力も低下している。自分が病気になりそうだ。

手や足の動きが鈍い。注射するのが怖い、手が震える。年寄りは、記憶力が鈍い。仕事の速さに追いつかない。患者の診察・手術が終われば、次の患者が待っている。早く、用意をしないといけない。

自分のことで手一杯だ。他人の管轄にまで、文句を言っていられない。患者の症状はみんな違う。個人個人に合致した治療となる。頭が一杯で、間違えそうだ。

なぜか、この大学病院にはマニュアルがない。基本的な手順用紙がない。大半が、先輩看護師からの口頭で教わるしかない。覚えられない。

それが、この古い体質の大学病院のやり方だ。師長に、意見・提案を告げても、相手にされない。現状維持のままだ。改革する気がない。棚に表示がない。あっても、文字が小さい。表示をハッキリさせてよー。

しかも、市立と大学では、やり方が全然違っていた。看護の基本は同じでも、職場が変われば、その職場の慣習に従わなくてはならない。慣れるまでが大変だ。

知らない技術、扱ったことがない機材・器具、見たこともないような薬品がある。一から覚えないとならない。

大学病院は、でかい。広い院内では、道に迷う。研究施設もある。先生・医師ではなく、教授だ。しかも建物が古い。壁が汚い、亀裂が入っている。廊下が狭いのに、モニターテレビなどを平然と置いている。規律も制度も違う。

教授たちが、幅を利かせている。態度がでかい。古い体質だから、効率性を求めない。教授たちは、改革を恐れる。下から物を言える、空気ではない。下らない仕事でも、文句が言えない。新人にとっては、優しくない環境だ。

大学は、超多忙だ。みんな大学の名前に引かれて、大勢の患者たちが押し寄せてくる。ここにくれば、安心して優れた医療が受けられると思っている。

元看護部長「市立病院のほうが、ノビノビと仕事をしていたなー。あーん、辞職するんじゃなかったー。個人病院にでも、転職しようかなー」

 個人病院は、経営が苦しいぞー。看護師は、どこに転職しても、仕事はきついのだ。しかし、多忙な病院で鍛えられた看護師は、忍耐強い超一流の看護師になれる。

暇な病院に転職すると、楽すぎて困るだろうな。





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  • どわすれ

    Excerpt: どわすれ、というのは老化とは関係ないそうです。度忘れする内容は、必要ない情報か印象のない情報だとか。忘れるのは、忘れるくらいのことだということでしょうか。 Weblog: 雑学博士になりたいっ!!,看護部長の転職58 racked: 2008-01-13 16:08