●渋谷69

交差点

 さらに、1万人以上の人たちが、集結している。
 皆、信号機を無視して踊っている。

 修学旅行生の女子高校生7人が、踊っている。右手首を回しながら、下から上へと高く上げた。

次に、左手首を下から上へと、高く上げた。

 渋谷の交差点は、滅茶苦茶な状態に陥っている。法律もない、秩序もない、平穏なルールもない。

騒々しさだけが存在する。

 人が多くて、博恵は安心してダイナミックな踊りができなくなってきた。予想外な現状だ。

倒れていた宏が、起き上がった。携帯電話を内ポケットから取り出して、何やら送信をしている。

モニタービルAの事務所に、送ったようだ。

 博恵、フと我に返った。踊っている、周囲の人々を見渡す。携帯電話を使用している、宏を見る。宏だけ、踊っていない。

博恵「宏、踊ろうよー」

 宏、慌てて携帯電話を内ポケットにしまう。深呼吸をし、怖い顔をして博恵をじっと見つめる。

博恵「何よ…?」
 博恵は、ムッとしている。

 宏、胸ポケットから、右手で1枚の用紙を取り出した。腕を伸ばし、逮捕状のように、博恵の目の前に見せつけた。

宏は、真剣な顔をしている。勇気を振り絞っている。

博恵「何よ、これ…?」

宏「お前を一生、俺が逮捕する。黙ってこれに、署名捺印しろ」 

 用紙を、博恵に手渡す。受け取って、じっと見る博恵。

博恵「これって、逮捕状じゃない」

 宏、慌てて用紙を良く見る。確認する。用紙が違う。

 白い歯を見せて、ニコッと笑ってごまかす。

 胸ポケットから、婚姻届を取り出して、博恵に手渡す。受け取る博恵。用紙をじっと見る。

博恵「これって、婚姻届じゃない」

 博恵は、驚いて宏の真面目な顔を見つめる。

宏「署名捺印したら、一緒に踊ってやる」

博恵「あのねー。結婚の申し込みって、多少、順序っていうものがあるでしょう」
 博恵は、あきれ返った。

宏「何だよ、順序って?」

博恵「順序って、あの、その、決まり文句があるでしょう」

 博恵は、困惑してしまった。乙女心を理解していない。

宏「言っている意味が、良く分からない」

博恵「けじめよ、けじめ…」

 宏、イライラして、大声を上げる。威圧する。













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