●渋谷61

上空

 弟彗星は、丸くなって滞空している兄彗星の横を、かすめて天に向かった。目指すは、母彗星のいる大宇宙だ。

弟彗星は、巨大な尾を引いている。大気圏、成層圏を越えて、宇宙へと飛び出した。地球から飛び去った。

それでも、弟彗星の尾は、まだ渋谷の交差点の地下から放たれている。簡単には、短時間では消え去りそうもない。

短くても、30分くらいは、かかりそうだ。それだけ、長い尾を引いているようだ。

派出所内
 ミュージックMが、終わる。

 博恵は、ボーっとしながら、窓腰から外を見ている。白い世界を、じっと見つめている。

アフター・ビートたちの姿が、見えているつもりのようだ。

携帯電話で、文字を打っている宏。

携帯電話の画面には、「料金は10万円かかります。1、Yes。2、No」と表示された。

宏は、その料金の高さに驚いた。顔面が蒼白した。そんな、お金はない。迷いに迷った。勇気が出ない。手が震えている。

でも、奇跡を起こしたい。奇跡を起こすのは、神ではない。彗星でもない。自分の強い意志だ。

奇跡を起こすのは、「1歩、踏み出す勇気だ」。

宏は、勇気を振り絞って、「1」のスイッチを押した。

あー、やってしまったー。もう、後悔できない。一瞬にして、10万円が、吹っ飛んだー。

 博恵、毅然と宏の面前に立っている。頬を膨らませている。

 博恵の背後にあるドアの窓には、白く光り輝く微粒子物質に覆われている。外の景色が、全く見えない。

 だが、その白く光る微粒子物質は、派出所内にまで入り込んできた。

博恵や宏の足元を、ただよっている。徐々に、充満して行く。

 宏だけには、その白く光る微粒子物質は見えている。

博恵には、見えていないようだ。











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